効果的なDMの作り方

宛先を選んで送付するDMは、レスポンス率が非常に高い広告媒体です。

「HAPPY BIRTHDAY」のメッセージとともに、誕生月有効クーポンが付いたDMが届いたら思わず目を通しませんか?
このようにターゲットを絞り込むことで、広告の印象はさらに強くすることができます。一般広告は不特定多数が対象となるのに対し、DMは特定の対象にしぼることで「あなたにこそ買って欲しい」というメッセージ性を伝えられるからです。
そのため、DM戦略の成功のカギはターゲットリストにあると言えます。

DMを送付する際のターゲットリストは、大体このどちらかで構成されるでしょう。
・自分の手元にある顧客リストを活用
・自分で調べて新たにリストを入手(名刺、名簿、雑誌など)

こうしたリスト構成の仕方によっても、DMに期待するべき効果は大きく変わってきます。
今回は「全日本DM大賞」過去受賞作を実例に挙げながら、成果を出すDM作りの特徴をお話します。

ターゲットリストを活かした企画戦略

 

不動産の販売促進において、ターゲットのペルソナを明確にすることは非常に大事になります。若い夫婦であれば結婚を控えているであろう年齢に、または子供が生まれてしばらくしてから、といったようにターゲット像が確立されているほどDM送付のタイミングも効果的に選んでいけるのです。
ターゲットリストの正確な分析で成功した例として、「コンビネクスト」という会社のDMがあります。

商品購入率を26倍にした「コンビネクスト」
コンビネクストは、ベビー用品の企画・販売を手がけるコンビのグループ会社です。
同社では昨年10月から妊娠月齢と連動したDM企画を展開し、商品購入率を以前と比べて26倍にまで引き上げることに成功しました。

DMの送付は初回のプレゼント時だけでしたが、この企画から全4回に分けることに変更。簡素だった梱包もギフトボックス・包装紙を一新し、プレゼント感が強まるように演出しました。
<発送のタイミングと内容>
① 初回発送
自社ブランドと出産準備向けアイテムの紹介
② 初回から15日後
前回のリマインドとして、実際の購入者の声なども掲載
③ 同45日後、75日後
この頃には子どもの性別が解り始めたと想定して、商品情報を男女別で掲載。さらに漫画形式の商品紹介やマタニティーのお悩み相談など、親近感の湧くような内容に。

出産時期が近付くにつれて徐々に具体性のある内容に変えていくことで、段階的に自社商品への理解を深めてもらうという戦法です。
妊娠期間中に数回に分けてアプローチをし、提供情報をターゲットの月齢にリンクさせることで、このDMには見事なストーリー性が備わりました。それが企画成功のポイントだったと言えるでしょう。

目を引くデザインで新規ターゲットを獲得
ターゲットリストは一定の顧客で形成されるものですが、やはり常に更新されていくことが理想です。特に入れ替え需要を狙う企業は、それに合わせてターゲットも拡大・移行していかなければいけません。
とはいえ、サービス概要を説明するだけのDMに新規ターゲットは食いつくのでしょうか。多くの企業が発信する広告の中から自社を選んでもらうには、他社との差別化が重要になってきます。一口に差別化と言っても、それは容易なことではありません。
提供サービス、料金設定などで競合が多い場合に効果的なのが「人の目を引くデザイン」です。

クリエイティブな企画でWebへのコンバージョン率40%達成「新晃工業」
空調機器メーカーの新晃工業はターゲットに認知されるきっかけに苦しんでいました。ターゲットとなるビルのオーナーや社長、病院長に興味を持ってもらうために取り組んだのが「COOL DM」という企画です。

<デザインと内容>
メッセージカードは保冷封筒に入って宅急便で届きます。印刷の一部には5度以下でないと発色しないインクが使用されていることで、開封直後からメッセージカードのヴィジュアルが変化し始めます。
「LOVE IS FOREVER(愛は永遠)」というタイポグラフィはFとRE(特殊インクの部分)が消えて「LOVE IS OVER(愛は終わった)」になってしまいます。
さらにバックの氷山は溶けたように見え、そのヴィジュアルが環境問題を想起させるのです。ここで「空調機器を変えれば節電とCO2削減が可能」というメッセージとともにWebサイトの誘導をします。
このDMでWebへのコンバージョン率40%を達成しました。それは同時に、ターゲットと出会う機会を自ら作ったということになります。

面白いと思わせるクリエイトは、時に企業のポテンシャルとして受け取ってもらえます。
自らターゲットの獲得に出る際はこうした工夫も強みとなるでしょう。

今回はかなりアイディア企画寄りの例を出しましたが、目を引くデザインとはもっとシンプルなものでも十分効果的なのです。綺麗だ、と思わせる写真を大きく載せるだけでも人の心は強く惹かれます。最初に人の頭に入りやすいのは文字より写真です。ライティング、色調などを工夫して自社商品の写真を豪華にするだけでもDMの印象はグンと上がります。